着用頻度の低いきものですが、洋服と違いカタチが変わらないからこそ代々永くお使い頂ける良さもあります。ご実家のお母様に任せきりと聞くことがありますが、いずれ順番が回ってくると思いますので、若いお母様にもお読み頂けると幸いです。
保管方法としては桐箪笥がベストです。
保存剤は絹物が虫に食われることは殆どないので
きつい臭いの樟脳より調湿・防カビ効果の高いものがお薦めです。
但しウール製品と一緒に収納される場合は注意が必要です。
着る毎に洗いに出すべきか聞かれることがありますが、汚れていなければ洗う必要はありません。
但し次にお召しになるまでの期間が長い場合は、洗いに出しておかれる方が安心かもしれませんね。
着用後の点検では衿元・袖口・裾回りが汚れ易いので入念にみます。
軽い汚れはガーゼにきもの用ベンジンをつけて裏にタオルを敷いてこすらないように軽く叩くように拭きます。
脇辺りにきつくシワが残っている場合は帯の下が蒸れて汗の成分が残っている可能性が高いので、そのまま収納するとシミになる危険性があるので汗抜きに出されることをお薦めします。
現代の住宅は密閉性が高く冷暖房も行き届いていて、生活臭や湿気が滞留しているので、
箪笥や押し入れの中に入れっぱなしでは、きものも息苦しく圧迫感に喘いでいるので、1年に1~2回は虫干しが必要です。
虫干しは2日以上晴天が続いた翌日の午前10時から午後3時、風通しの良い日陰を選んできものを裏返して干します。
虫干しが面倒な場合は箪笥の引き出しを開けて風を通すだけでもそれなりの効果はあります。
その時にたとう紙が変色していたり、斑点が出ていないか注意して見てください。
できればそのようになる前、3~5年に一度交換されることをお薦めします。
虫干しが面倒な方や産着や振袖・留袖・喪服など滅多に着ないきものは脱酸素剤を使った収納パックもお薦めです。
高価なきものですが永い時間の中でご家族の美しい想い出と共に大切に受け継がれていって欲しいと願っています。
お役に立てることがあれば遠慮なくご相談ください。