お知らせ

藤原晴美 「心を耕すきもの」

「心を耕すきもの」花通信

(※写真は本文とは関係ありません)

来年ご成人対象の振袖記念撮影会(前撮り)の時、目を潤ませながら感慨深げにお嬢様を見つめておられるお祖母様とお母様がいらっしゃいました。
お聞きしたところお嬢様がお召しになっている振袖はお母様がハタチの時にお祖母様にお作り頂いたものできものを選んだ時のことやお正月に来た昔の想い出と、それに今、目の前のお嬢さんの晴れ姿がタイムスリップして感動したとおっしゃっていました。

また最近お世話になった方の葬儀に行くことがありました。
遺族・親族皆さんが黒紋付姿で故人をお見送りしておられる姿を拝見し、厳粛な中にも故人を偲ぶ想いや弔問に来られる方へのお礼の気持ちが伝わってくる感じがしました。

当たり前にきものを着ていた私たちの時代の常識がどんどん過去の出来事となり、次の時代を担う方々へ着物が受け継がれていくときに、モノだけの受け渡しだと今の便利な生活様式に慣れておられる皆様だけに、きものを面倒に感じてしまうのも仕方がないようにも思います。

しかしかけがえのない想い出と共に大切に保存し、長い人生の様々な節目でお召し頂けたならば、その方にしかないお家の新たな歴史がきものと共に綴れるのではないでしょうか。

そんなことでもお役に立てる私たちであれますように。